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和牛と国産牛の違いを知って正しく仕入れをしよう

外食の定番メニュー「ステーキ」「ハンバーグ」「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」。いまや外食業界では牛肉がなければ商売になりません。
現代では当たり前のように食する牛肉ですが、日本人が食べるようになったのは明治時代からと言われています。それ以前1200年間は、日本では牛肉を食べることを禁止されていました。世界に冠たるおいしい和牛の歴史を掘り下げます。
和牛の祖先はどこからやってきたか?
牛と人間との関係はどこからはじまったのか?世界各地の遺跡を見ると、野生の牛が家畜化されたのは西アジアで8000年ほど前と言われています。
日本では野牛を飼いならしていたという事実は確証がないようですが、いまから2万年ほどむかし、かつて世界の大陸がつながっていた古代の日本列島には野牛(バイソン)の群れが野原を駆け回っていたと言われています。
そのことを裏付ける遺跡が1927年、岩手県の花泉町で井戸掘りをしていた人が発見し、1956年に野牛と確認されています。この花泉遺跡からは野牛の骨をはじめ、ナウマンゾウ、オオツノシカ、ノウサギなどほ乳類の骨も一緒に見つかっています。
岩手県立博物館には、花泉遺跡から掘り出された野牛の骨をもとにして作られた骨格像が展示されています。
しかし、いまから1万年ほど前、気象の変化や地殻の移動で日本列島から姿を消しました。そのため、大陸から稲作文化とともにわたってきた牛が、現在の和牛の祖先と言われています。
が、はっきとした証拠がなく、憶測であります。かつて牛は大切な家畜であったはずです。現代のように牛を食べるということはなかったはず。きっと頭数を増やすことにも苦労したことでしょう。
有名銘柄牛のほぼ全てが「和牛」
「松坂牛」「近江牛」「仙台牛」といったいわゆる銘柄和牛と輸入牛の違いはよく知られています。しかし、「和牛」と「国産牛」の違いは食に関わる人間でもはっきりと認識されてないことが多いと感じます。まずは日本の国内産牛肉のもと牛を解説します。
●「黒毛種を中心とする和牛類」
●「もともと乳用牛だったものを肉用に肥育したホルスタインを中心とする乳牛類」
●「乳用牛雄と黒毛種その他とのF1と呼ばれる交配種」
●「色の黒いアンガス種など、日本国内で肥育された外来種」
上記の中で最も高価な牛は「和牛」です。有名銘柄牛の9割は和牛で霜降りと呼ばれる脂肪交雑(サシ)が入り、肉部分はピンクがかった赤色です。味わいは濃厚で、口どけのよいバターのようなリッチな脂の風味が特徴。飼育期間も長く約3年かけて生産者が手塩にかけて育てます。
和牛とは、霜降りで有名な黒毛和種だけではありません。分類上は褐色和種や「岩手短角牛」など黒毛和牛より少し小さい牛で引き締まった赤身が特徴の牛も和牛です。購入の際には見極めが必要です。短角牛の脂ののりが少ない肉質と黒毛の霜降りでは、肉質、風味も大きく異なります。料理に合わせて購入してください。
アンガス種は和牛に比較的近い肉・脂肪質を持っています。F1も肥育法が和牛に近いため和牛の味わいと近いです。乳牛類は搾乳した雌と去勢された雄が主流で、肥育期間の短い若牛が多いことと、元牛の性質、飼育方法から肉味も和牛より淡泊で霜降りも少なく、脂肪の風味も軽いという特徴があります。
和牛と国産牛は明確に異なります。
精肉業界では、和牛種は短角種も含めてすべて「和牛」として売ってもよいことになっています。ただし短角種などは、肉質も異なり値段も高価、当然黒毛和牛と同じように売られることは滅多にありません。
和牛の定義ですが、「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」「和牛を交配させた種」のいずれかに該当します。
松阪牛、前沢牛など地名を冠した和牛もいるので、少々ややこしいですが、「和牛」というのは原産地とはまったく関係なく、あくまで品種名と覚えておいてください。しかし、アンガス種やF1、乳牛などはすべて国内産(Jビーフ)としてひとくくりに売られています。
つまり、「和牛」と「国内産牛」は育て方・条件があきらかに違います。しかし、市場流通量は、断然国産牛が圧倒的に多いです。また和牛ではない国産牛でも「○○」牛などと銘柄和牛のごとく売られているケースもあります。味はさておき、元の価格が大きく違うので、ご注意ください。
まとめ
和牛の祖先と言われる野牛は、紀元前、気象の変化・地殻変動などで日本列島から姿を消しました。その後、大陸からやってきたと考えられる牛が大和時代から日本の和牛の歴史を作りました。牛肉が食べられるようになったのは明治時代と言われています。
それ以前では、主に牛は畑を耕すなどの農作の手助け・サポートをしていました。「和牛」と「国産牛」の違いは、品種。和牛は、「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」「和牛を交配させた種」のいずれかになります。
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